2014年5月22日木曜日

「飢える噛む」の遊び心と産業のダウンサイジング

ドラマ「孤独のグルメ Season4」の放送が決定したらしい。

私はこのドラマの大ファンで、Season1から全話見ている。

印象的だったのは沼袋の焼肉屋だ。「飢える噛む」と書かれた看板が忘れられない。

英語の"welcom"と、焼肉を貪る意味をかけたのは明らかだか、いかにも個人経営の飲食店という感じがした。

個性的過ぎるのだ。私は「飢える噛む」を面白いと思うが、悪趣味と思う人もいるだろう。

大手ファミレスチェーン店で広報部の若手が提案したら、上司から却下されそうなコピーだ。

個人商店の良さは、店主の自由でわがままな発想が許される、という点だ。

大企業や役所では、最大公約数的な発想をするので灰汁の強すぎるものは切り捨てられる。

実際、もっと違う看板にした方が、客が入ったかもしれないが、店が存続できるくらい客が入るなら、「飢える噛む」でも誰からも文句は言われない。

店主の上に上司はいないからだ。会社だとこうはいかない。

会社の社長の場合、最終決定権はあるかもしれないが、たくさんの部下がいる手前、個性的過ぎる発想は採用しにくい。

彼らがどう思うか気にしなくてはならないからだ。あまり変なことをすると彼らがついてこなくなる。

ちなみに、この店は40年近く続いているようだ。「飢える噛む」で大正解。

そもそも「孤独のグルメ」という番組自体が個人商店礼賛という感じがする。

紹介される店もチェーン店や高級レストランでなく、小さな家族経営の店ばかりだ。

主人公の井之頭五郎も海外雑貨輸入業の個人事業主。

サラリーマンが”孤独のグルメ”を味わえるのは、定時後の仕事仲間との飲み会でなく、営業先で仕事の前後くらいだろう。

井之頭五郎は個人事業主だからサラリーマンより、”孤独のグルメ”を自由に味わう機会があるのでは?と考えるのはこじつけか?

大量生産、大量消費時代から、多品種少量生産へ。産業構造の変化とともにその業態も変化する。

産業の中心が大企業から個人事業へ移るのかどうかわからないが、いずれにしても個人事業の最大メリットは「飢える噛む」の遊び心だ。