遅ればせながら追悼の意味でプロレスオタクのはしくれとして、故人・アントニオ猪木選手のベストバウトを選んでみた。 〇は猪木の勝ち試合、●は負け試合、□は引き分け。
1. vs マサ斎藤 手錠デスマッチ 〇
試合途中で現石川県知事、元文部科学大臣にして当時、現役プロレスラーの馳浩がなぜかマットに乱入。
馳が猪木とマサ斎藤の腕に手錠をはめる。すると残りの腕で両者は殴り合いを始める。顔面血だらけになりながら斎藤がグロッキー。猪木が勝ち名乗りを上げる。
この試合の遺恨試合として、両者の巌流島デスマッチが企画されるがこちらは世紀の凡戦。退屈な試合だった。手錠デスマッチで終わりにしておいた方がよかったのでは。
2. vs ハルク・ホーガン ベロ出し失神事件 ●
猪木はほとんどが勝ち試合なので負け試合の方が印象が強い。
第1回IWGP決勝戦、アックスボンバーを浴びて猪木が場外で失神。最近、これが全部、猪木が仕組んだアングルだと知ったが、だとしたらガチでホーガンを倒すよりも猪木の企画力はすごい。
3. vs モハメド・アリ 国民的大試合 □
試合内容は凡戦だが、全国民が注目した試合という意味で猪木のライフワークの一つだろう。このときのアリキックが後の必殺技、延髄斬りにつながった。
4. vs 長州力 延髄ラリアット ●
長州力に敗れ、猪木はこれ以降、メインイベンターを退き、参議院選に出馬。世代交代を象徴する試合であるとともに政治家としての猪木のスタートにつながる試合。
5. vs アンドレ・ザ・ジャイアント 大金星ギブアップ勝利 〇
WWEのレッスルマニアではホーガンがアンドレからフォール勝ち。また無効試合になったが前田日明がアンドレと不穏試合をして実質、やっつけたらしい。アンドレの株が落ちているので、同じ勝ちでもギブアップ勝利でないと意味がない。
そういう状況下でのギブアップ勝利だったが大金星であることは間違いない。
6. vs ローラン・ボック 負け試合だが快挙 ●
ユーチューブで最近見た。結果は猪木の判定負けだが猪木の強さがわかる試合。
あれだけローラン・ボックに投げられたのに、フォール負けもせず、KOもされないとは猪木はすごい。だがその猪木よりもさらにローラン・ボックは数段強いのだが。
7. vs 天龍源一郎 ミスタープロレス誕生 ●
昔、ミスタープロレスと言えばハリーレイスを指した。ルー・テーズの記録6回を破り、NWA王座戴冠最多通算記録を樹立したからだ。ところがいつのころからか天龍がミスタープロレスと言われるようになった。日本人選手で唯一、ジャイアント馬場とアントニオ猪木からフォール勝ちをおさめているからだ。その意味で天龍にとってはワイフワークの試合だが負けた猪木でも晩年の名試合と言える。
8. vs ドン・フライ グランド・コブラ 〇
猪木の引退試合。決め技はグランドコブラ。猪木のフィニッシュホールドは、コブラツイスト、ジャーマンスープレックス、卍固め、延髄斬り、ときて最後はグランドコブラ。年をとってもできる技という意味もあるかもしれない。
9. vs 坂口英二 大爆笑急所攻撃 ●
丸坊主頭で猪木が登場すると古館アナウンサーが「IWGP必勝を祈願して坊主になりました」。ところが後で週刊誌をみると、猪木の不倫が奥様、倍賞美津子にバレて坊主になったとのこと。
試合は坂口が猪木をアトミックドロップの要領で持ち上げ、トップロープに落とす。すると急所をトップロープにぶつけた猪木は場外に股間を抑えたままうずくまり、そのままリングアウト負け。
これを観ていたのか、後日、マサ斎藤は上記の手錠デスマッチで、猪木の急所をトップロープに落とす攻撃を連発した。
そしてその後、巌流島デスマッチの日、猪木は倍賞美津子と離婚した。
10. vs ビッグバン・ベイダー スポーツ新聞提供試合 〇
東京ドームの前座試合。日刊スポーツか東京スポーツか新聞社がスポンサーの特別試合。ハープの生演奏で「イノキボンバイエ」が流れる中、猪木が登場。
ベイダーの日本でのピークはUインターの高田延彦との試合で、それ以降は株が落ちていた。猪木のギブアップ勝ちだったと思うが予定調和過ぎたのがたまに傷。
この日のメインイベントは天龍源一郎対佐々木健介のIWGPタイトルマッチ。だがこの日一番盛り上がったのは、橋本・飯塚組対小川・村上組のタッグマッチ。スリーパーホールドで勝利した無名の飯塚高志が一躍スター選手に。
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