2026年5月7日木曜日

モーム短編のあらすじ

 サマセット・モームの短編集を読んだ。以下、あらすじを紹介する。

①エドワード・バーナードの転落
 ベイトマンがタヒチからシカゴに戻って来るところから物語は始まる。
エドワードはイザベルと婚約していたが、父が経営する銀行が破産したので婚約破棄を提案した。ただしエドワードは某大企業に勤め、タヒチの出張し、金を稼いで戻って来たらイザベルと結婚するとのこと。
 エドワードの親友、ベイトマンはイザベルに頼まれ、タヒチに行き、エドワードの様子を調べる。するとエドワードは会社をやめ、詐欺師(イザベルの伯父?)が経営する個人商店で働いている。エドワードはタヒチの田舎生活が気に入っていてシカゴに戻らないと告げる。またベイトマンがイザベルと結婚すべきとも告げる(ベイトマンがイザベルに思いをよせていることをエドワードは見抜いていた)。
 シカゴに戻ったベイトマンはイザベルに事情を話し、イザベルと結婚する。

②手紙
 弁護士ジョイスは殺人容疑で逮捕された人妻ドロシーの弁護を引き受ける。
 ハモンドがドロシーの家に侵入し、いきなりレイプしてきたのでドロシーは拳銃を撃ってハモンドを殺した。召使いが銃声に気づき警察に通報した。
 ドロシーの夫クロスビーとジョイスは顔なじみでドロシーを無罪にするべく努力すると約束。
 とろこが中国人の召使いがジョイスに手紙のうつしを渡す。当日、ドロシーがハモンドを呼び寄せた内容だ。これはうつしで現物ではない。現物は中国女が持っているとのこと。
 ドロシーがハモンドを呼んだとなると裁判で殺人罪になる。そこでジョイスはクロスビーに相談し、中国女に大金を支払って現物の手紙を入手する。
 裁判ではドロシーは無罪。手紙の現物を焼く。実はドロシーも中国女もハモンドの愛人。そこでドロシーはハモンドを自宅に呼び、ハモンドがドロシーを捨て中国女と一緒になるようなので殺害した。こういう話を裁判後のパーティーの席でジョイスなどに暴露する。

③環境の力
 東南アジアのイギリス植民地が舞台。  ガイとドリスは屋敷に住んでいる(婚約状態?)。  テニスで二人が遊んでいると赤ん坊を抱いたマレー女がこちらを見ている。  後日、マレー女が屋敷に近づくのをガイの召使いが力づくで止める。  ドリスはガイに事情を聴く。  実はマレー女はガイの愛人で赤ん坊は娘だった。また赤ん坊の他に二人の少年も二人の間に生まれていた。ガイはマレー女に金を渡し、白人の女と結婚するから別れると告げていた。  それを聞き、ドリスは怒ってイギリスに帰る。  ガイは仕方なく、マレー女やその子供たちとよりを戻すことにする。

④9月姫
 タイの王族の話。タイの王女が二人生まれたので昼、夜と名付けられた。その後。また二人生まれたので、最初の二人の名前は取り消し、春、夏、秋、冬と名付けた。その後、またたくさん生まれたので、これまでの王女の名前は取り消し、1月姫から12月姫まで月の名前に変えようということになった。現在、9人の姫がいるので末っ子は9月姫だ。この語、12月姫まで生まれる予定だったが、生まれなかった。  誕生日に姫は王からインコをもらった。ところが9月姫のインコだけすぐ死んでしまった。  すると言葉をしゃべる小鳥が9月姫の前に現れる。小鳥は美しい歌を歌うので9月姫は飼うことにする。  ただし鳥かごには入れず、自由に部屋の中を飛ばしていた。  名前を変更された姉姫たちは性格が悪くなり、小鳥を鳥かごで飼うよう9月姫にすすめる。  そこで小鳥を鳥かごに入れると小鳥の体調が悪くなる。鳥かごごと外に出て田畑をみせてもダメ。  小鳥は死にそうになるが鳥かごから出ると再び元気を取り戻す。  9月姫は大きな持参金をもらってカンボジアの王様に嫁ぎ、象に乗った。一方、姉たちはシャム猫と小さな持参金を持って官僚たちに嫁いだ。

⑤ジェーン
 五十代の未亡人ジェーンが二十代のイケメンの青年と結婚する話。  周囲の人々は青年がジェーンを捨てて離婚するだろうと予想する。  青年はスタイリストの才能があり、ジェーンの服装を髪型からコーディネイトすると、たちまち若返る。  あるパーティーの席でジェーンが「こちらはレジナルド提督です」と私モームに紹介。  その後、ジェーンが離婚したことを私は知る。知人が教えてくれたのだ。  話を聞いてみると青年がジェーンを捨てたのでなく、ジェーンが青年を捨てたとのこと。  ジェーンはXX提督と再婚することにしたようだ。 (レジナルド提督はジェーンの台詞で初めて読者に紹介され、その後、描写なし。これがモームの小説テクニックか)

⑥12人目の妻
 私モームがエルサレム旅行中の話。  ホテルで両親と娘ポーチェスターの一家と知り合いになる。  また結婚詐欺師モーティマー・エリスとも口を利く。エリスは11人の妻と結婚したが12人目がほしいと語る。  ポーチェンターが行方不明となったがエリスの12番目の妻になったことが暗示される。

⑦物知り博士
 私は船旅で物知り博士と同室になった。  物知り博士は食事の席でみんなに知識をひけらかす嫌な男だった。  あるとき外交官夫妻と同席すると夫人のネックレスの真珠は高額だと物知り博士が言った。  外交官は神戸に出張し、美人妻を1年間、米国の自宅に残してきた過去がある。  物知り博士は自分の本業は真珠の鑑定士だと説明。  ところが外交官は18ドルの偽物だと主張。そこで100万ドル賭けることになる。  物知り博士が真珠を眼鏡で細かく鑑定した結果、18ドルの安物であることを認め、100万ドルを支払う。  私と船室に戻ると、ドアの下に博士宛に封筒が届く。中には100ドル札が入ってた。博士は私に封筒を破って窓から捨てるように指示。私はその通りにする。 「やっぱり真珠は本物だったんですね」私が訊く。 「私なら美人妻を1年間、自宅に一人になんかしません」と博士 (ラストの台詞の終わり方は小説というより映画的? また結果を曖昧にするのもモームの技か)

⑧詩人
 スペインの大詩人のファンの私は、彼の自宅を訪ねる。詩人の顔の描写が延々と続く。貫禄のある顔だ。ところが彼は最後に「私は詩人ではなく、毛皮職人です。詩人の家は隣です」と言う。 (延々とした描写がラストのオチを引き立たせる。モームのテクニックか)

⑨ランチ
 私モームは、観劇しているとき老婦人にひさしぶりと声をかけられた。  彼女は自分が20代の頃、自分の愛読者で高級レストランでおごったことがあった。あの頃金がなかったので彼女におごったら無一文になってしまった。  「私は復讐を遂げた。今、彼女はデブなのだ。」といった文章で終わる。(このオチは小説ならではで、映像表現では難しいだろう)

⑩漁夫サルバトーレ
「私にできるだろうか」の謎の文章で始まる。  漁夫の家に生まれたサルバトーレは10代後半ぐらいに恋人ができ、婚約するが、徴兵に取られ結婚が延期になる。  サルバトーレは戦地でリューマチにかかり、軍隊から追い出される。実家に戻ると、恋人との結婚は破談になり、親がすすめた別の不美人と結婚する。  漁夫になり、子供もできるが、リューマチで体が痛くなることがあった。  冒頭の「私にできるだろうか」は、試練や挫折を乗り越え、いかにサルバトーレが天真爛漫の性格かを作家の自分がが描けるか、心もとないという意味だった。  

⑪蟻とキリギリス
 兄は弁護士。弟はフリーター。弟はギャンブルで金をすり、ときどき兄に金の無心にくる。また犯罪に近いことをやり、兄に示談金などで助けてもらう。  兄は老人になり、リアタアし、田舎の一軒家でつつましく老後を暮らす。  一方、弟は母親ほどの年齢の富豪の未亡人と結婚。結婚相手はすぐに亡くなり、弟は遺産をもらい、大金持ちになる。兄よりも金持ちだ。兄は大変悔しがる。  この話を兄が私モームにしたとき、私ははからずも笑ってしまう。

⑫マウントドレイゴ卿
 精神科医のところに外務大臣が来た。彼は毎日奇妙な夢を見るのだが、後日、現実の世界で奇妙なシンクロが起こる。  夢で自分がパーティーの席でズボンを穿き忘れ、みんなに笑われる。次の日、国会でグリフィス議員が自分のスボンを見てにやりと笑う。  また別の夢では国会でグリフィス議員の質問に対して自分は下品な歌を歌う。目が覚め、国会に行くとグリフィス議員が例の歌の歌詞を口ぐさんでいる。  また別の夢では自分がビール瓶でグリフィス議員を殴った。目が覚め、国会に行くとグリフィス議員が頭を痛そうに抱えている。  精神科医は外務大臣に催眠をかけ、グリフィス議員に謝るように告げると、外務大臣は突然起き上がって怒り出す。

 後日、外務大臣が診察の予約を入れる。だがその日は病院に来ない。精神科医が新聞を読むと、外務大臣とグリフィス議員が死亡した記事が掲載されていた。

⑬ジゴロとジゴレット
 バーが舞台?  曲芸をやる夫婦がいた。夫は元ジゴロ。  夫がプールに火を放ち、妻が高いところから浅いプールに飛び込むという曲芸だ。  一つ間違えると妻は死んでしまう。  客は妻が曲芸を失敗するところを見に来るのだ。  ある日、曲芸を終えた後、もう一度曲芸をやることになる。妻は危険だからと嫌がる。  夫と口論の末、夫が折れる。だが妻は曲芸をやると言い出す。

⑩ロータス・イーター  あるイギリスの銀行員が早期リタイヤしてイタリアの田舎町に移住する。  元銀行員は支店長まで出世したが、35歳で銀行をやめ、年金生活に入る。35歳から年金を受け取ると60歳まで支給され、その後年金は出ない。47歳から年金を受け取ると終身年金が出る。  私モームが彼と話してみると、60歳まで生きているかわからないし、60歳になったら自殺すると言った。彼は悠々自適の生活を満喫していた。  その20年後、60歳を過ぎると彼は服毒自殺を試みるが病院に運ばれ、一命をとりとめる。だが頭がおかしくなる。元召使いの物置小屋に住み、家事、雑務、庭仕事をして元召使いの召使いになり、六年後に亡くなる。亡くなる1年前に私は彼を見かけるが、人相が悪くなっていた。  早期リタイアも天国ではない、という話か。

⑪サナトリウム
 サナトリウムに結核の患者が住んでいる。  患者同士がホールでギャンブルを楽しんでいるとき、ある患者が賭けに勝った瞬間、息絶える。  患者のうち起き上がれるものが参列して葬式が営まれた。  また別の男女の患者は結婚する。結婚式も患者たちが参列する。  ただし新郎の方が結婚してから数か月の命であることを医師から宣告されている。

⑫大佐の奥方
 大佐夫婦は子なしで初老ぐらい? 妻が詩集を出版したところベストセラーに。大佐は詩集を読まなかったが妻に「読んだけど面白かった」と告げる。様々な著名人が妻をパーティーの招待し、大佐もときどき出かけていく。ところが大佐を詩集を読んでみると、人妻の主人公が若い青年と不倫する話だった。最後に青年は死んでしまうのだが、大佐はこれは妻の作り話でなく実体験にもとづく話だと考えた。  パーティーでは自分はみんなの笑いものにされてたのだ。  つまり妻は不倫していたのだ。友人の弁護士に相談すると10年以上前の話だから、調査しない方がいいと告げ、大佐は納得する。

⑬五十女
 あるパーティーで五十代の女かr「ひさしぶり」と声をかけられるが、私モームは覚えてない。 フロレンスにいたときに会ったとのこと。彼女はローラだった。私は少しずつ過去を思い出す。

 若い頃、ローラは伯爵の息子と結婚した。息子は働かずギャンブルをやっては借金を作って来る。  あるとき、息子は銃で伯爵を殺してしまう。  弁護士に相談するとこのままではローラの夫は殺人罪で処刑される。裁判でローラが伯爵の愛人だったと嘘の証言をすれば夫の処刑は免れる。このように言われ、ローラは嘘の証言をする。  その後、ローラはこの夫と離婚し、大学教授の中年男性と結婚した。

 ローラが私に声をかけたのは、私が彼女の黒歴史を知らないと思っているからなのか、そうではないのか。私はいぶかった。

  ⑭冬の船旅
 イギリスの若い娘が船旅をして船長たちと食事をして会話を楽しむ。あるとき電報が届くが通信士からのラブレターになっていた。  下船したとき通信士の手を振った。

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