2010年12月5日日曜日

WikiLeaksは潰されるのか、世界を変えるのか

 例の中国との尖閣問題で、私はSengoku38氏を応援した。当ブログで内部告発者に映像をYouTubeにリークしてほしい旨を書き込んだ直後、その通りのことをSengoku38氏がやってくれたからだ。私だけではない。いわゆる“保守派”や“右翼”がこぞってSengoku38氏を褒め称えた。
だが私がSengoku38氏を支持した本当の理由は、いわゆる“保守派”や“右翼”とは少し違っていたと思う。私はただ真の情報が知りたかっただけだ。映像を検証した結果、中国ではなく日本側に非があったという内容でもいいから、とにかく真実が知りたかった。真実を知らなければ正しく判断できないからだ。
だが“保守派”や“右翼”は日本が中国に対して有利になる情報がほしいだけで、あるいは民主党を叩く情報がほしいだけで、真実にはあまり関心がなかったと思われる。

今、WikiLeaksのニュースが世界中のマスコミを席巻している。暴露サイトなら日本にも2ちゃんねるがあるではないか、と言う人がいるかもしれないが、WikiLeaksのすごいところは米国政府がWikiLeaksを潰そうと工作を仕掛けてくるところだ。
中国で「天安門事件」をネット検索しても、中国政府の工作で情報は隠蔽されている。劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したテレビ放送を中国政府は一瞬、妨害した。
それと同じようなことを今度は米国政府がWikiLeaksに対して仕掛けているのだ。
アマゾンやペイパルがWikiLeaksとの取引を停止したのも、WikiLeaksのジュリアン・アサンジ氏が明らかに冤罪の婦女暴行容疑でインターポールから指名手配されているのも、米国政府の圧力であることは明白だ。
一方、2ちゃんねるは何を告発しても政府が工作を仕掛けることはないと思われる。情報の信憑性が低く、あることないことごちゃ混ぜだから、どれが真実でどれがガセネタかがもともと曖昧な媒体だからだ。
ところがWikiLeaksの場合、米ニューヨークタイムズ紙、英ガーディアン紙、仏ルモンド紙など大手マスコミにリーク情報の裏を取ってから掲載するというやり方なので、情報の信憑性が高い。だから米国政府に狙われるのだ。

WikiLeaksを批判しているのは米国政府だけではない。ほぼどこの国の政府も批判的なコメントを発表している。ちなみに米国の実質的属国である日本政府もWikiLeaksを批判しているが、これは例によって宗主国を慮ってのことだろう。だが米国に気がねしてではなく本音の部分でWikiLeaksの存在が厄介だと思っている国もたくさんあるはずだ。

CNNのサイト掲示板を見ていたら、WikiLeaksの件に関して、「New World Order」という書き込みがあった。
大げさに言えば、WikiLeaksは世界を変える可能性を秘めている。主権国家という概念がここへきて崩壊するのではないか、と私は考えている。国家機密がすべて暴露されてしまっては国家が成り立たなくなってしまうからだ。でもそれは必ずしもわれわれ一般庶民にとって不幸なことではない。国家が一般庶民をだませなくなるからだ。もはや一つの国家ではなく、その外側にある枠組みに、われわれ人類はアイデンティティーを求める時代に入ったのではないか。
 ネットの分野で情報に国境が完全になくなったのはともかくとして、商取引の分野でも国境という枠は足枷になってきている。だから政治の分野で同じことが起きても当然だろう。
いきなり世界が統一国家になることはないかもしれないが国連が権力を強め、戦争を防止するため、あるいは環境問題のため、各国政府の活動を制限する、ということがあるかもしれない。

日本人のWikiLeaksに関するネットの書き込みを見ると、国民の知る権利の前に公開すべきでない情報があるから、WikiLeaksの活動に反対するという意見が目立った。だが公開すべきでない情報とはどのようなものだろうか。
たとえば核兵器の作り方がネットに流れ、それをテロリストが入手したら大変だ。私はかねてからそう考えていたが、どうやら同じことを考えていた人は既にいたようだ。この前、記憶は曖昧だがCNNでそのようなコメントをしていた専門家がいた。実は核兵器のレシピはそれほど難しいものではないらしい。物理学専攻の学部卒程度(院卒でなくていいのだ)で理解可能なレシピがあるという。だとすればこのネット時代に情報公開の自由はなおさら危険ということになる。
だが、WikiLeaksがやろうとしていることは、今のところ社会正義に合致している。アフガン戦争での米軍の残虐行為をやめさせようとしているだけだ。
この次にWikiLeaksが暴くのは米国政府が隠しているUFOネタらしい。こちらのネタはさらに私の興味を引くところである。

WikiLeaksが権力に潰される前に世界が変わることを祈る次第である。 

2 件のコメント:

  1. 私の WikiLeaks に対しての懸念は、アサンジ氏がどんなに理想主義者で、しかも多国籍の大手マスコミの裏付けがせれていても、WikiLeaksの情報が信憑性に疑問を感じてしまいます。
    国家に属している秘密警察は情報操作のプロフェッショナルです。素人にその情報の信憑性なんて判断がつくわけがない(素人にわかったら、秘密警察が無能だということ)
    ただ、市民はインターネットを武器に WikiLeaks が潰されても、まさにアサンジ氏が言っているように、また新しい WikiLeaks を立ち上げて国家を揺さぶるのはいいことじゃないかと思います。
    インターネットによる国境の崩壊、資本主義経済による国境の崩壊(進行中はきついですけどねw)、世界統一政府が出来るなんて夢ですよね!

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  2. コメントありがとうございます。

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