これからの時代、まず意識しなくてならないのは為政者性悪説です。
この世にはよい為政者、悪い為政者がいる、という考えも半分は間違っています。
組織の構造自体に問題があります。利権があるところに人が群がり、腐敗が発生します。
一番下にはわれわれ一般国民がいます。
その上に国民を支配する政治家・官僚がいます。
さらにその上に政治家・官僚を支配する階層が表示されています。
巨大資本組織とは、第二階層である政治家・官僚を支配できる立場にある巨大な財力を持った組織、または強力な影響を与える圧力団体を指します。
具体的には大企業、財閥、経済団体が含まれます。大企業では特にメガバンクや大手証券会社が巨大資本組織と言えます。株式を通じて企業グループ全体を支配できる立場にあるからです。
この他、巨大な宗教団体のような財力のある非営利組織もここに含まれます。さらには、宗教団体などをフロント組織とした国際麻薬シンジケートや広域暴力団といった裏社会もここに含まれます。
裏社会の構造についてはリチャード・コシミズ氏のブログなどを参照してください。
ところで、なぜ第二階層は第一階層に支配されるのでしょうか。一つには選挙の供託金の問題があります。国民はある年齢に達すると、選挙権や被選挙権を得られます。ただし現実問題として、高額の供託金のため、普通の人は政治家に立候補できません。立候補できるのは、ある程度お金のある人か、上記の巨大資本組織をスポンサーにつけた人のいずれかです。後者であれば、どうしても一般国民のためでなく、スポンサーのために政治を行うことになります。少なくともスポンサーの利益を大きく損なう政治はできないでしょう。また前者の場合、自らが第一階層に所属しているから、選挙資金がある、という場合があります。実際はその両方である場合が多く、一般国民は政治家になれない構造になっています。
本来、民主主義社会の政治家は、世のため人のために働きたいという高尚な志を持った人が立候補すべきであり、普通の人や弱い立場の人を救うための政治を行うべきなのです。ところが選挙のスポンサーである巨大資本組織の顔色をうかがわなくては政治ができない仕組みになっているのです。
これを改善するには供託金をなくすか、極力低くすることが有効と考えます。ただそれだけでは世の中はよくなりません。
ではどうしたらいいのでしょうか。
これまで世の中の富のほとんどは政府を含む巨大組織に集中していました。
組織を小さくすることが大事です。巨大組織の人、物、金をすべてダウンサイジングするのです。
つまり政治家・官僚を支配するような巨大資本組織は作らないことが大事です。
私の提案ですが、治安維持や外交を除いた行政、つまり社会インフラの建設や各種産業の規制や助成は市町村などの基礎自治体に分権するのです(因みに産業の規制や助成は極力なくし、民間に自由にやらせるべきです)。そして市議会議員の半分を、町内会やマンションの理事会のように、あるいは裁判員制度のように、一般市民当番制にするのです。つまり直接民主制です。
当番制議員の主な役割は政府から市民が税金を取られないよう、無駄な行政を廃止することです。つまり血税を使った無駄な”お祭り”や余計な箱物を作らせないことです。
これまで政府は働かなくてもしばらく遊んで暮らせるほど儲けた民間人に目をつけて税金をしぼりとってきました。その一方で上記の第一階層から十分な税金を取ることはしませんでした。
気をつけなければならないのは政府を支配する巨大組織の存在です。こうした組織をすべて解体し、またこうした巨大組織が出現しないよう、累進課税をはじめ様々な規制をすべきです。
若いときにたくさん稼ぎ、早い年齢でリタイアして悠々自適な生活を謳歌することに、モラル的に何らやましいことはないと思います。彼らは政府を支配できません。
私がこんな話をするのも搾取する存在がなくなれば、私たちは今までほど働かなくても、もっと楽に生活できるからだと考えるからです。
その一方で政府を支配し、大手マスコミを使って国民を情報操作する第一階層こそ、モラル的にも危険な存在なのです。