この世で最も重要な職業は何でしょうか?
私は真っ先に農業を挙げます。それも嗜好品的な珍しい果物ではなく、米、大豆、麦といった穀類や野菜など、生活必需品的な農作物を作る仕事です。日本人の場合、魚の消費量が多いことを考えれば漁業も同じ意味で重要でしょう。
食料がなくては私たちは生きてはいけません。だから農業は重要なのです。
ところが日本の食料自給率はカロリーベースで39%(生産額ベースで66%)です。しかも農家は高齢化が進んでいます。今、行政が一番強化しなければならない産業の一つが農業なのです。
ところで食料自給率はなぜ高くすべきでしょうか。
太平洋戦争で、日本は敵国から経済封鎖を受けました。いわゆるABCD包囲網です。経済封鎖とは戦国時代の言葉で言えば”兵糧攻め”です。
米国は日本の無条件降伏以降はもちろん、それ以前から日本を支配しやすいよう、日本の自給率を意図的に下げてきました。
自給率が低いのは食料だけではありません。エネルギーの自給率、つまり石油も日本は海外からの輸入に依存しています。
経済封鎖をちらつかせれば、日本は米国の命令に従うしかありません。
そこで食料をはじめ、生活必需品・サービスの国内自給率が重要になってくるのです。
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さて、私はここで新しく国内自給率ならぬ、国民自給自足率(国民自給率)という概念を提唱したいと思います。
これは生活必需品・サービスを国民が自給自足できる割合またはその能力という意味です。
具体的には自給自足の兼業農家を思い浮かべてください。自分の庭で栽培した農作物を食べることで食費の全部または一部を賄うのです。
自分で生産して自分で消費する。ここでは市場も貨幣経済も仲介しません。
また食料だけではありません。自宅のソーラーパネル付屋根で発電した電気で電気代の全部または一部を負担します。
この他、生活必需品・サービスには水道、住居、衣類、医療サービスなどが思い浮かびます。かつてアーリーアメリカン時代、田舎の米国人は自分で自宅を建てていたようです。
すべてを自給自足することは不可能かもしれません。しかしたとえば組織を立ち上げ、自給率向上の研究を進めれば、技術的に自給率を飛躍的に高める方法が見つかるかもしれません。
共産主義には生産手段の共有という概念がありますが、私は生産技術情報、設計技術情報の共有という概念を提唱したいと思います。
私は自給自足で前近代的な生活に戻れと主張しているのではありません。できるだけ現代人の生活を維持しながら、自給率を高めることが可能だと考えるのです。
日本が米国の支配から逃れるために国内自給率を高めることが重要なのと同様、一般の国民が日本国政府の支配からある程度逃れるために、国民自給率を高めることが重要なのです。
日本の政府と日本に住む国民は別の概念です。両者は利害が異なります。外国政府とその国の国民についても同様です。
政府は税金という形で国民の財産を一方的に搾取する存在です。国民はこのことに意識的でなければなりません。これまで多くの国民が信じてきた政府”性善説”は間違いです。国民は常に政府を見張る必要があるのです。そしてそれこそが本来の民主主義のあり方なのです。
(つづく)
2013年6月4日火曜日
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