古代遺跡から発掘した石の文書を考古学者が解読したところ、冒頭はこんな文章で始まっていた。
「近頃の若者はけしからん。嘆かわしい時代になったものだ」
私は長い間、これをマヤ、アステカ、インカといった古代アメリカ系の話だと記憶していたが、ネットで調べるとメソポタミア文明や古代エジプト文明の話だという説もあり、詳細はわからない。ただ確実なのは、この文書が指す「近頃の若者」は私たちよりはるかに年輩の世代だということだ。ご先祖様、あるいはウルトラ超大先輩といったところか。
私が若い時分も年配者から「近頃の若者はけしからん」を不当に言われ続けてきた。だから自分が年配者になったら年下の世代に「近頃の若者はけしからん」を言わないようにしようと決めていた。
この「近頃の若者はけしからん」はおそらく古代からリレーのように世代から世代へ受け継がれてきたのだろう。自分も上の世代からやられたので、今度は自分が下の世代に同じことをやり返さないと不公平だ、という考えがリレーを継続させてきた。だが悪しき伝統は断ち切るべきだ。自分の世代は苦労したが自分の子や孫の世代には同じ苦労はしてほしくない。こういう考えを持たないと人類は進化できない。
ところで最近、仕分けられたらしいが、「今年の新入社員は○○型」といったフレーズを毎年、マスコミに発表していたのが民間団体ではなく、公益財団法人であることを初めて知ったときは、心底驚いた。
公益財団法人日本生産性本部は、旧経済産業省所管、現内閣府行政庁の特例財団法人で、日本企業の生産性を高めるための組織である。その組織がサラリーマン川柳のような「今年の新入社員は○○型」を、わざわざ有識人を集めて作っていた。しかも税金を投入して。新入社員を叩いたところで生産性が向上するはずはない。おそらくこれも、古代から連綿と続く「近頃の若者はけしからん」の一形態だと思われる。
「若者の○○離れ」といったマスコミの表現もまた「近頃の若者はけしからん」の一形態であることにはまちがいない。だがこれにはもう一つスポンサーの影も垣間見える。だからさらに悪質だ。
一番昔からある「若者の活字離れ」は出版業界、「若者の自動車離れ」は自動車業界といった具合にスポンサーがマスコミに書かせているパブリシティーなのだろう。
近頃の若者は自動車を買わないが、これは実にけしからんことだ。だから若者よ、当社の自動車を買いなさい。といった広告メッセージをサブリミナル効果のようにニュース記事の中に忍ばせておく。
最近では「若者のパチンコ離れ」なる記事も発見した。近頃の若者はパチンコをやらずにまじめに勉強したり、仕事をしたりしている。これは実にけしからん、という論旨なのだろうか。
この分でいくと、「若者の麻薬離れ」、「若者の犯罪離れ」がけしからん、という記事まで出てきそうだ。
いつになったらマスコミは「若者の○○離れ」離れをするのだろうか。困った話である。
ここはひとつ、あの世におられるウルトラ超大先輩が幽霊にでもなって姿を見せ、「『近頃の若者はけしからん』はけしからん」と、この世にまだ生きている現役世代にビシッと喝を入れてもらいたいものである。
難しくって、分かんない。
返信削除勉強するわ。
近頃の若者より、近頃のオジサン、オバサンはけしからんと思うよ。なんか自分もオジサンになって、あー、基本は中学生なんだなーと思うようになったねーw
返信削除その点、最近の新入社員の子達はw挨拶もきっちりできるし、いわゆる社会人として良く出来ていると思うよ。
それとも就職難だからレベルの高い人が入社してくるのか?
あと、やっぱり団塊の世代の後の世代から政治的無関心層が増殖していると思うねー。それが短絡的な反中感情につながっている原因と分析しているけど、、、
あ、全然話の意味が違かったかなー?
コメントありがとうございます。
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