最近、リチャード・コシミズの動画とブログにはまっているせいか、物事を陰謀論の視点から見るくせがついた。
そこでエレクトロニクスB層を覚醒させるべく、RISC陰謀論について論じてみたい。
この前、放送大学のビデオ講義で、教授がRISCについて教科書的な説明をしていた。
RISC(Reduced Instruction Set Computer)とは、アセンブリ言語でプログラミングするとき、処理スピードを上げるために命令数を少なくしたマイコンを指す。RISCに対してそれ以前からあった旧タイプのマイコンをCISC(Complex Instruction Set Computer)と呼んで区別する。これがRISCの教科書的説明だ。
私は素人の立場ながら20年近く、このRISCという語について探究してきた。だから教科書には書かれないRISCにまつわる真相について、私は自信を持って語ることができる。
結論から言えばこうだ。RISCは現在では「よいマイコン」というぐらいの意味しか持たない。技術の専門用語に見えるが諸事情からRISCの意味は崩壊してしまった。
たとえば、もしあなたが半導体メーカーを起業して、ともかくマイコンと名のつく製品をRISCチップと称して販売したところで、「これはRISCじゃないだろう」と突っ込む客はまずいない。
一方、たとえばあなたが汎用マイコンをDSPと称して販売したら、ボードメーカー、システムメーカーの客から「これはMAC命令がないからDSPじゃない。金返せ」といったクレームがくる。DSP(Digital Signal Processor)は技術的定義が確立した用語だからだ。
そもそもこのRISCという語が注目されはじめた80年代、実はRISCという用語は米国マイコン業界の陰謀と深い関係があったのだ。
80年代、32ビットマイコンでは総合評価でインテルの「8086」が1番、モトローラの「6800」が2番だった。
ここで言う総合評価というのは、マイコンの処理スピード、つまりベンチマークテストの性能だけでなく、価格や消費電力、さらには開発ツールなどの各種ユーティリティーソフトやそのコストまで含めた商品の市場での競争力を指す。
だがインテルの競合他社としては、客に「8086」が1番である事実に気づかれてしまっては商売上がったりになる。そこでRISCという用語を持ち出した。
具体的にはIBM、サン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカード、DEC、シリコン・グラフィックスといった当時のワークステーション・ベンダーが、インテルの競合他社だった。彼らは自社ワークステーションのCPUに独自のマイコンを64ビットRISCと称して開発していた。
彼らはの主張はこうだった。自分たちのCPUは新技術のRISCを使っている。だから従来技術であるCISCの「8086」やその後継(X86)よりも、自分たちのマイコンが優れているはずだ。
吉野家の牛丼は「早い、安い、うまい」が謳い文句だが、この頃、RISCのキャッチフレーズは「(処理スピードが)速い、安い、低消費電力」だった。
しかしながら、X86は現在でも生き残っているのに対し、ワークステーション・ベンダーのRISCは今日ほとんど淘汰されてしまっている。DECなどは会社自体が今では存在していない。市場に受け入れられたのはX86の方だった。
ところで、当時、ワークステーション・ベンダーたちがRISCと称して開発していたマイコンの共通項を探り出して、業界マスコミがRISCという語を再定義することになる(続く)。
2011年2月10日木曜日
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