2011年11月19日土曜日

日本と世界の未来予測⑦

9. 特許からオープンソースへ

21世紀は特許からオープンソースへ、コピーライトからコピーレフトへソフトウェアが移行していくのかもしれない。

そもそも特許は、発明者にある程度の報酬を与えるためにできた法律だった。
だが一定期間が過ぎると、特許に申請した技術は人類共有の財産となり、発明者の独占権は消える。
永遠に発明者に技術の独占権を与えていては、技術の進歩は滞る、という考えが特許法の立案者にもあったと思う。
現行の特許法では出願から20年間、特許は有効だ。だがドッグイヤーで進化するIT業界では20年は長すぎる。20年間、発明者にしか無償で新技術を使えないのは痛い。

そこでオープンソースという考えが普及してきた。

オープンソースの開発者はソースコードの独占権を放棄する代わりに、利用者にも独占権を放棄してもらう。
利用者は開発者の了承を得ることなく、自由にオリジナルのソースコードを改良できるが、改良したソースコードもまた、オープンソースにしなくてはならない。つまり独占的利用権はない。
オリジナルの開発者は利用者がバージョンアップしたソースコードを無償で利用でき、お相子になる。発明のマイナーチェンジを許すことで、技術進歩はまたしても加速する。
最初はソフトウェアだけだったが、あらゆる工業製品はCADで設計する時代である。ハードウェアの設計情報もソフトウェア化し、オープンソースの考えが普及している。

すぐれたソースコードは人類共通の財産にすることで、技術は急速に進化していく。
技術のオープンソース化は特に後進国が先進国に追いつくのに役立つ。
だからいくつかの米国企業は、アフリカへのODAなどと同じような社会貢献目的で、オープンソースの普及に尽力している。

特許がすぐなくなるとは思えないが、21世紀後半までには多くの発明者が特許を放棄し、オープンソース化するのではないかと思われる。

芸術作品の著作権についても同じことが言えるかもしれない。
ネットでは同人誌の二次小説、二次漫画などという言葉をよく目にする。小説や漫画のオープンソース化といったところか。
そもそも古代の神話や伝承はオープンソース物語だった。小説の著者が著作権を主張するようになったのは近代小説からだろう。改訂版のベルヌ条約は1971年にできたとのこと。

ネットのおかげであらゆるソフトウェアが無償化または低価格化した。PCのプログラム、ニュース記事、音楽、映像、アニメ、ゲーム、そして書籍…。

オープンソースは工業製品から芸術作品まで、人類のあらゆる創造物を人類の共有財産にしていくことで、特定の階層でなく、人類全体を豊かにしてくシステムかもしれない。

(続く)



0 件のコメント:

コメントを投稿