戦前、日本は飛行艇の生産技術で世界最高水準にあった。飛行艇だけでなく、陸上機においても同様だった。
レシプロ式戦闘機の高い性能がそれを証明している。
だが戦後、米国からの圧力で日本は飛行機を作れなくなった。日本に優れた戦闘機を作られては勢力均衡上、または地政学上、よくないと判断したのだろうか。
ところがここへきて、準国産ボーイング787が出来るなど、宗主国米国からようやくお許しが出たようだ。
さて、飛行艇だが、もともと陸上機と比較して機体が重いなどの欠点があり、廃れてしまった経緯がある。だが飛行場を建設しなくていいことから、島国日本では、大きな利用価値が期待されている。
飛行艇は生産するだけでなく、利用しても日本に経済効果をもたらす。
現在、ロシアではジェットエンジンの飛行艇がある。
また水陸両用で飛行場に車輪を出して離発着できる飛行艇もある。
さらには、スペースシャトルは飛行艇の方が作りやすいという意見もあるようだ。
技術大国日本が全力で飛行艇開発に取り組めば、世界最高水準を奪回するまで、それほど時間はかからない。
飛行艇は離島への物資の輸送によく使われる。飛行場のない離島へは陸上機は使えず、ヘリコプターや船舶ではスピードが遅いということだろうか。
海底ケーブルで離島でもインターネットが利用できるようになった昨今、後は物資の供給が十分になれば、離島に住むことのハンディーキャップは大幅に減るはずだ。
これまで過疎地だった離島の人口が増え、それなりに経済発展すればどうだろう。もともと自然環境には恵まれた地域だけにGDPだけでは評価できない豊かさを住人たちは満喫できるはずだ。
飛行艇製造工場をこうした離島に作ってもいいかもしれない。
いずれにせよ、飛行艇はこれまで交通網が確立されていなかった地域を結ぶのに使うべきだ。
たとえば、今後、東アジア共同体が活性化し、特に朝鮮半島(このブログで私は南北朝鮮統一国家を予測した)と国交が正常化すれば、佐渡は日本海貿易のハブ基地として発展できる。
佐渡から飛行艇を飛ばし、ウラジオストック、朝鮮半島、大連などを日本海側の諸地域と結びつけるのである。日本海側は太平洋側にくらべ、これまで産業が遅れていた地域である。
小樽、秋田、山形、北陸(特に新潟)、山陰、福岡まで、佐渡発飛行艇のおかげで経済発展できる。
同じことが沖縄にも言える。沖縄は上海、香港、シンガポール、東南アジア、台湾、そして九州まで沖縄発飛行艇が人と物資を運ぶのである。沖縄はアジア経済のハブ基地となる。
日本以外ではインドネシアやミクロネシアが飛行艇の恩恵を被るだろう。
8. 官主導ガラパゴスから民主導ジャパニーズクールへ
日本のエレクトロニクス業界を”ガラパゴス”と最初に揶揄したのは野村総研だったと思う。
iモードやワンセグのように、日本の携帯電話は、海外にない日本独自のインフラや業界標準があり、それなりに発展しているが、世界市場へ製品を輸出するときにこれが足かせになる。
輸出するには世界標準を採用しなければ不利だ。
だから世界市場では例えばアップルのiPhoneのようなスマートファンに勝てない。
iモードやワンセグはどんなに発展していても、外国では使えない。まるでガラパゴス諸島の島内だけに生息する動植物のようだ。
これが”ガラパゴス”の意味である。
野村総研は悪い意味でこの語を使ったのだが、よい意味で使われることもあるようだ。
日本の漫画やアニメ、ゲーム、それに付随するコスプレなどのオタク文化は、日本独自のものでありながら海外では”ジャパニーズクール”などと呼ばれ、高い評価を受けている。
だから”ガラパゴス”は悪くない、という意見もある。
結論から言えば、今後、官僚主導のガラパゴスはだめで、民間主導のガラパゴスはジャパニーズクールに化ける可能性を秘めていると思う。
次世代インフラは何が業界標準になるか正確には予想できない。予想できないにも関わらず官僚が税金を投入して投資するのはリスクが高すぎる。ここは自己責任で民間企業に自由に泳がせ、様子を見た方がいい。
中国が髭剃り付携帯電話を作った。”何を作るか”について民間に自由に任せれば、今後、こういったサブカルチャーエレクトロニクスが中小企業から出てくる可能性がある。そのうちのほとんどが消滅するかサブカルチャー止まりだろうが、ごくまれに産業のメインストリームになりそうな技術が出てくる。
ここで初めて官僚の出番である。民間発のメインストリーム候補の技術について、税金を投入して支援していけばいい。”選択と集中”とはこのことだ。
(続く)
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