21世紀半ばまでには、日本の人口は首都圏から地方へ流れていく。過密地から過疎地へ人口の逆流である。
今後、日本の居住地は、東京、大阪、名古屋などの大都市の他、一般地方都市、兼業農村地帯、専業農村(第一次産業)地帯に大別される。
比率的には、大都市12%、一般地方都市25%、兼業農家48%、専業農家15%となり、一般地方都市と兼業農家を併せた73%の住人が平均的な日本人のライフスタイルとなる。
大都市には外国人が流入し、そのせいで多くの日本人が地方や外国へ移住する。
法的規制は緩和され農林水産業への新規参入は自由にできるようになる。
これにより、農業就業者の平均年齢も大幅に若返る。
32ビットRISCチップを搭載した、全自動スマート農機、ロボット耕運機のおかげで、素人でも簡単に農業に参入できるようになり、しかも農業労働時間は大幅に短縮される。
兼業農家は主に自給自足のために農作物を栽培し、余った作物は小遣い稼ぎに販売するに過ぎず、生活費は別の仕事で補う。
農家を増やすことは第一に国内の食料自給率を高めることを意味する。
食料を外国からの輸入に頼っていては、外国から支配を受けることになる。国が自立するために高い食料自給率が必要だ。
同様に食料の自給自足は、農家個人が国の支配から自立することも意味している。
行政がブロードバンド「光の道」を日本国中に整備したおかげで、兼業農家は在宅勤務で様々な仕事が選択できるようになる。
「光の道」の利用料は1500円/月。これでテレビ、電話、ケータイ、インターネットのすべてが使い放題で利用できるのだ。
一方、近場の一般地方都市へ通勤する人もいる。サテライトオフィスやノマドワーカー用カフェは大都市へ行かなくとも、駅前には必ず見つかる。
兼業、専業の住民たちは自然環境に恵まれた地域に住む一方、ネット通販と地元のショッピングセンターのおかげで、都市部に出かけなくとも必要なものはすべて揃う。
一方、一般地方都市は、大都市にあるすべての施設を備える。特にマスメディアの中核施設であるローカルテレビ局、ないしローカル配信局がすべての駅前にある。
都市、地方を問わず、建造物はすべて外断熱方式が採用され、冷暖房光熱費は削減される。
あらゆるビル、マンション、家屋の屋上にはソーラーパネルが敷かれ、蓄電池と自家発電装置が設置される。エネルギーはオール電化。
自家発電装置の燃料代を払えば、電気代は節約できる。
固体核融合が発電の主流になり、燃料の重水素はペットボトル入りで、コンビニや自動販売機で買える。
公共の固体核融合発電所は、近所の児童公園内に設置される。大規模な発電所の建設は必要ない。消費地に近いため、送電のエネルギー損失が少なくて済む。
この他、自家発電付エアロバイクやルームランナーが大流行。
余った電力でロボット家電を動かし、家事労働を減らすのが21世紀のライフスタイルとなる。
食料を自給自足できるのは農家だけだが、エネルギーはすべての人が自給できる。
生活に必要なのは後は水道代と前述の「光の道」代だけである。
できればどんな地方にも下水道は完備してもらいたいものである。
(続く)
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