20xx年
あなたは北越谷の複合ビルマンションに住む商社マン。
大宮にある本社には2週間に1度、出社すればよく、それ以外のウイークデーは、自宅のPCで作業をするか、取引先に直出直帰で出張する。
業務連絡は上司にメール。営業会議はスカイプ。自宅の書斎ですべてこなしている。
朝、6時に起床したあなたは、シャワーを浴びた後、スーツに着替える。鞄の中を確認し、玄関から出ようとすると、背後から妻の声。
「あなた、これ」
おにぎりが入った弁当箱だ。
「朝食は食べなさいよ」
あなたは無言で受け取ると鞄に詰め、外へ出た。時刻は7時10分前。
エレベーターで屋上に上ると、昨日、スマホで予約した無人クワッドコプターはもう着いていた。
あなたは座席に座る。弁当箱からおにぎりを出し、頬張ろうとするともう離陸していた。
台場空港に到着したのは、それから約10分後。ちょうどおにぎりを食べ終えたところだった。
本当は羽田か成田へ行きたかったのだか、予約がいっぱいとのこと。
最終目的地はニューヨークのXビルだが、自宅から最速で到着するルートをサーバーが検索してくれた。
だから多分、間違いないだろう。
台場空港は飛行艇専用の海上空港だ。
無人出国手続き装置はわずか30秒で通過。手荷物検査を同時に行ったようだ。
あなたは予約してある超音速ジェット飛行艇の無人ハイヤーをさがし、桟橋から搭乗した。5人まで乗客が載れるタイプだったが、もちろん客はあなた一人だ。機内にはトイレもついている。
ハイヤーが離陸したのは7時20分。
ハイヤーの中で有料映画を見て約3時間過ごす。
日本時間で10時半前ぐらいにJFK国際空港に到着。無人ハイヤーは水陸両用飛行艇で通常の陸上機向空港ではタイヤを出して着陸する。
無人クワッドコプター乗り場は、無人入国手続き装置を通過するとすぐ見つかった。
大空港だけに乗り場は混んでいた。10分ほど待った後にようやく乗れた。
すると今度は5分も経たないうちにXビルの屋上に到着。
取引先の企業Y社は50階建Xビルの30階にあった。
あなたは34階で降り、喫茶店で時間をつぶす。
日本時間11時少し前にあなたはY社の受付嬢に名刺を渡す。
応接室に通され、Y社の担当者と商談すること1時間弱。
再びXビルの屋上に上り、クワッドコプターでJFK国際空港に戻ってくる。
タブレットPCで上司に業務報告を済ませると日本時間で12時を回っていた。
無人ハイヤーで日本へ帰国。ただ今度は寄り道をしたくなった。
無人ハイヤーのパネルで行先を変更できる。
妻のおみあげにうなぎパイを買って帰ろうと思いついたのだ。
浜名湖水上空港は日本時間15時半に到着。空港から無人タクシーで繁華街のデパートまで行き、うなぎパイを買う。
デパートの屋上がティルトローター乗り場になっているとはラッキーだった。
デパートから南越谷駅のヘリポートに着くまで30分はかからなかった。JR駅のほとんどは必ずティルトローターの発着所を屋上に用意している。
あなたは東武伊勢崎線の無人モノレールに乗る。二駅で北越谷。駅と複合ビルマンションは続いているが、自宅に帰るまで、結構歩かされるのが難点だった。
「おかえりなさい。遅かったわね」
マンションに戻ったあなたはうなぎパイを妻に渡す。時刻は17時半だった。
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いかがでしょうか。ニューヨークの日帰り出張。これは極端な例でほとんどSFですが、これに近い状況が近い将来可能だと信じます。
2014年3月5日水曜日
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